酢の働きで、関西に「押しすし」が誕生


発酵を早めるために、
酢や酒粕、麹などを使ったすしもあらわれます。
また、酢の発酵技術が進み、
塩と酢をあてた魚の切り身と飯を重ね、
箱に入れて押し蓋に重石を乗せて押した寿司も作られます。
飯とともに食べる「酒すし」や「柿の葉すし」、
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関西の「押し寿司」がそれです。
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「早すし」「握り寿司」


江戸時代の後期、文化文政の時代になると、
一般庶民にも酢が普及してきて、
魚と飯に酢を使った
すぐに食べられる「早すし」が登場します。
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そして、手で握って圧力を加えた「握り寿司」が誕生するのです。
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もともと発酵食品だったすしは、
酢を使うことで手軽に作れるようになり現代に続いています。
すし飯にすしだねを合わせて手で握ることにより、
促成とはいえ、一体感のある味を引き出します。
すしだねとすし飯がなじむこと、
「すし」のだいご味はここにあります。
「すし」は酢酸やクエン酸などの成分が
疲労回復や食欲増進のあるヘルシーな食品といえます。

しらなかった寿司がいろいろあります。


鮒寿司から進化して、
適度に発酵したころに飯と一緒に食べる「馴れ寿司」「鯖の馴れ寿司」や
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釣瓶桶に漬ける鮎の「釣瓶鮨」などが生まれました。
また、日本各地に魚と飯と野菜を漬けた「いずし」という発酵食品も多く見られます。
郷土料理として親しまれている、秋田の「ハタハタすし」や金沢の「かぶらずじ」などがあります。

すしのルーツは発酵食品


日本に現存する、歴史的に古い寿司は、近江の「鮒ずし」と言われています。
琵琶湖産の鮒を塩漬けにして、飯を重ね漬けにして自然発酵させたものです。
乳酸菌の働きで魚を保存し、食べやすくした先人の知恵が生んだ食品です。
米、稲作の伝来とともに、大陸から発酵食品が伝えられたといわれています。
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鮒寿司、食べたことありますか?
食通の間では珍味として珍重されています。
こうした馴れ寿司が現在の寿司のルーツです。